《あらすじ》
タイマンドッヂボール。
それは、古来より伝わる、血湧き肉踊る伝説のスポーツ!
これは、そんなタイマンドッヂボールに全てを賭ける、少年達の熱き物語である!
〈作・にまにま&しろめぇ&ふみくら〉
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《登場人物紹介》
犬吠埼あたる(いぬぼうさき・あたる)
望月小学校タイマンドッヂボールクラブ所属。2ヶ月前に転入してきて、クラブの代表選手になった小学5年生。
末長飛竜(すえなが・ひりゅう)
アマノDBC代表選手。小学5年生。
江洲波まみ(えすな・まみ)
望月小学校タイマンドッヂボールクラブのマネージャー。小学5年生。
常木絹太(つねき・きぬた)
あたるとともに、望月小学校タイマンドッヂボールクラブに現れた凄腕のコーチ。年齢不詳。
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《 本文 》
常木絹太
タイマンドッヂボール。
それは古来より伝わる、血湧き肉踊る伝説のスポーツ!
コートに立つのは自分と相手の2人だけ。
外野には誰も配置せず、自分が投げたボールを避けられ、そのボールが相手の周り――自分の外野に残った場合は、再び自らのボールとなる。
五回相手に当てれば、勝利が決まる原始的な戦い!
これは、そんなタイマンドッヂボールに全てを賭ける、少年達の熱き物語である!
犬吠埼あたる
「お前が今回の相手か! たぎってきたぜ!」
●
末長飛竜
「……ごめんね」
犬吠埼あたる
「何がだ?」
末長飛竜
「君のことを過小評価していた。1回戦だからと言ってボクは、自分の力を隠し通そうとしてしまったんだ」
犬吠埼あたる
「……?」
――飛竜(ひりゅう)、両手につけているリストバンドを外して、地面に落とす。
――鈍い音がして、砂埃が舞う。
犬吠埼あたる
「お前、そのリストバンド……!」
末長飛竜
「1つ40キロある」
犬吠埼あたる
「何のために!?」
末長飛竜
「枷(かせ)さ。『これくらいのハンデがないと、早く勝負がついてしまう』などと自惚れていたんだよ、ボクは。でも、それは間違っていた。まさか残機(ざんき)2つまで追い詰められるとは……もはや君との対戦に、これは不要だ……!」
「無礼を詫びて改めて名乗ろう。ボクの名は末長飛竜(すえなが・ひりゅう)。末長昇格(すえなが・しょうかく)の嫡男(ちゃくなん)にして――末長忍軍(すえながにんぐん)次期頭領(とうりょう)だ」
犬吠埼あたる
「末長忍軍?」
末長飛竜
「判りやすく言うと――忍者だよ。破(は)ッ!」
――飛竜、持っているボールを上空に放り、印を組む。
末長飛竜
「末長忍法、撃(げき)の形(かた)――【剣怒鳥雷(けんどちょうらい)】!」
○
江洲波まみ
「……! 相手が真上に投げたボールが何かバチバチしている!? あれは、なんですかコーチ!?」
常木絹太
「判らん! 判らんが、あれはヤバイぞ、マミくん!」
江洲波まみ
「名前呼びしないで下さい、セクハラです!」
常木絹太
「あ、はい。あれはヤバイぞ、エスナさん!」
江洲波まみ
「バチバチしているボールが急に軌道を変えて、ものすごいスピードで転校生に向かって……!」
●
――ボールがあたるの胸目がけて落ちてくる。受け止めるあたるだが、その力を完全に受け止めることが出来ず――
犬吠埼あたる
「あっ……ぐっ、あああああああああ――ああ!」
――ボールがあたるの手から離れ、外野の壁に勢いよくぶつかる。
――震える自分の手を見るあたる。
犬吠埼あたる
「手が……身体が、しびれて……もしかしてこれは、電気!?」
末長飛竜
「正解だ。末長の忍法には全て紫電(しでん)が纏(まと)われる。これより先、ボクからの攻撃は雷を受けることだと理解してくれ」
末長飛竜
「これで、2対3。さぁ、反撃開始といこうか!」
○
江洲波まみ
「忍法? 雷!? そんな、ドッヂボールでそんなの、反則よ! コーチ、運営に言いつけましょう!」
常木絹太
「……いや、多分無駄だ」
江洲波まみ
「どうして?」
常木絹太
「タイマンドッヂボールにおいて……忍法は禁止されてない!」
江洲波まみ
「そ、そんな……!? じゃあ、転校生はこれから雷みたいなボールを受け続けなきゃならないって言うの!?」
常木絹太
「そういうことになる」
江洲波まみ
「そんな、転校生……!」
●
末長飛竜
「フフフ、よく避けるね。だが、避けてばかりでは勝てないよ。実際君の残機はわずか1。崖っぷちだけど、どうする?」
犬吠埼あたる
「……これは、もうダメだ」
末長飛竜
「おや、諦めたのか?」
犬吠埼あたる
「ちげぇよ。ちょっと待ってろ。コーチ!」
――あたる、絹太の方を向いて笑う
犬吠埼あたる
「悪ぃな、常木(つねき)コーチ! いや、エメラルド! 約束破るわ!」
常木絹太
「……」
犬吠埼あたる
「こんなたぎる相手に、出し惜しみは無理だ! ちゃんと全力でぶつかりてぇ! っていうか、そうじゃねぇと、多分勝てねぇ!」
常木絹太
「……同感だ」
――絹太の身体がポンと煙に包まれ、狐のような狸のような小動物的なマスコット的な、ほら、何かそういうやつに変わる!
常木絹太
「思う存分やれ、あたる!」
犬吠埼あたる
「そう言ってくれると信じてたぜ! 相棒!」
――あたる、ズボンのポケットから緑色の宝石を取り出し、それを口に入れ、噛み砕く。
犬吠埼あたる
「――変身!」
――あたるの身体が光に包まれ――
○
江洲波まみ
「……何この展開?」
常木絹太
「どうした?」
江洲波まみ
「いや、そっちがどうした!? 何でコーチ動物になってんの!? 相棒って何!? 変身って何!? 転校生何食べたの!? ――っていうか、何で転校生は、女の子になっているの!?」
常木絹太
「……確かに、マネージャーであるエスナさんには説明しておくべきだったな」
「あいつは、あたるは――魔法少女なんだ」
江洲波まみ
「……」
常木絹太
「……」
江洲波まみ
「……は?」
常木絹太
「そして、私はその契約者である魔法生物だ。常木絹太(つねき・きぬた)とは世を忍ぶ仮初めの名。真名(しんめい)を、エメラルドと言う」
江洲波まみ
「……はあ」
常木絹太
「実は我々は、大会の主催者である悪の魔法使いを倒すために、この大会に参加したのだよ」
江洲波まみ
「……へぇ」
常木絹太
「そういうことなんだ。他に何か質問はあるか?」
江洲波まみ
「……2人とも頭湧いてんの?」
常木絹太
「湧いていない。質問は以上だな。さぁ、魔法少女あたるの活躍が始まるぞ!」
江洲波まみ
「……もういいや。何でも」
●
末長飛竜
「……何か隠しているとは思ったが……まさか女子に姿を変えるとは。しかもどうやらそれだけではなさそうだ。フフフフ、そうでなければ……面白くない!」
犬吠埼あたる
「驚かないか。さすが忍者、末長飛竜(すえなが・ひりゅう)! 来いよ、魔法少女の力、とくと見せてやるぜ!」
末長飛竜
「受け止めるつもりかい。いいだろう! ボクが使える中で最強の忍法で相手をしてやろう!」
――飛竜、印を組む。
末長飛竜
「あん、そう、れ、とう、はい、ばん、ひ、とう、せん、きり、りゅう、いー、そう! ――末長忍法、千(せん)の形――【不我雷同(ふわらいどう)】!」
○
江洲波まみ
「相手が……分裂!?」
常木絹太
「分身の術か……!」
江洲波まみ
「いや、分身の術って、もっとこうスッて増えるもんなんじゃないんですか? なんか、あたしが知っている分身の術とちょっと違うんだけど! スライムみたいな分かれ方してるんだけど! 身体半分に分かれて1人が2人に2人が4人に……どうなってるの!? ああ、すごい気持ち悪い!」
常木絹太
「5人に分かれたぞー! 一体、どうなるんだー!?」
江洲波まみ
「……何故か判りませんが、今あたしはコーチの頭を思いっきり引っぱたきたいです」
常木絹太
「どうしてだ。引っぱたくとするなら私の方だろう」
江洲波まみ
「何でですか!?」
常木絹太
「いや、何となく」
●
犬吠埼あたる
「5人になったのはいいけどよ、何か意味あんのか? まさか、ただ増えただけじゃないよな?」
末長飛竜
「フフフ、当然さ。これはただの仕込み。本領はこの先にある! 疾(ちっ)!」
――飛竜。ボールを分身した自分に投げる。
――分身はそれを、別の分身へ向けて弾く。
犬吠埼あたる
「コートの四隅に配置した分身で、キャッチせずにパス回し……どこから飛んでくるか判らなくする作戦……か?」
末長飛竜
「いや、発射台はコートの中心に立つボクだ」
犬吠埼あたる
「あ? バラしていいのか?」
末長飛竜
「いいさ。何なら今何をしているかも教えてあげるよ。ボク達がやっているのはただのパス回しじゃない。末永忍法によって紫電をまとった超高速の掌底(しょうてい)をボールに当てることによって、速度と雷の威力を上げているのさ」
犬吠埼あたる
「……」
末長飛竜
「ボクのところにくるのはあと6周後。その頃になると速度も、雷の威力も、先ほどの【剣怒鳥雷(けんどちょうらい)】など比べものにならないほどのものになる」
犬吠埼あたる
「……そういうことか」
末長飛竜
「ボクはそれを、最後に君に向けて弾き飛ばす! ……死ぬなよ。相手を死なせてしまったら、多分反則負けになるからさ」
犬吠埼あたる
「……へへ、面白ェ! 全力のアタックってわけか。たぎってきたぜ!」
「来いよ! 受け止めてやる……!」
末長飛竜
「君なら、そう言うと思っていた。あと3周」
「あと2周」
「あと1周。さぁ、構えろ……!」
「末長忍法、獄(ごく)の形――【渦雷(うずらい)】!」
○
江洲波まみ
「バカめ!」
常木絹太
「ど、どうしたんだエスナさん」
江洲波まみ
「相手は最後にボールに張り手かまして転校生にぶつけようとしてるんですよね!」
常木絹太
「そうみたいだな」
江洲波まみ
「チャンスです! それを避ければ良いんです! ルール上、バレーのスパイクのような、ボールを投げるではなく弾く攻撃は、それが外れたとき、もしくは相手にキャッチされたとき、失点となる!」
常木絹太
「……」
江洲波まみ
「何かやっこさん、偉そうに語ってやしたが、そういう穴にも気付かなかったんですかね? ざまぁ!」
常木絹太
「キャラ変わった?」
江洲波まみ
「小動物になるよりは全然。ヒャッハー! 避けろ、転校生! びりびり忍者に恥をかかせるんだ!」
常木絹太
「……いや、あいつは避けないよ」
江洲波まみ
「え……?」
常木絹太
「それが最善の策だと判っていても、避けられるわけがないんだ」
江洲波まみ
「ど、どうしてですか!?」
常木絹太
「受け止めてやるって言っちゃったから」
江洲波まみ
「え……頭湧(わ)いてるんですか?」
常木絹太
「ああ。大多数のドッヂボーラーは――頭が湧いている」
●
――飛竜が放ったボールがあたるに向かって飛んでくる。
――あたる、それを正面に見て、詠唱を口ずさむ。
犬吠埼あたる
「鉄の雨。銀の沼。総(すべ)ての盛者(じょうしゃ)の槍(やり)は風化(ふうか)する」
「ハイパァァァァァ!」
「カンナギィィィィィ!」
「ブローーーーーーーック!」
○
江洲波まみ
「……! 転校生の後ろに大きな門が現れた!?」
常木絹太
「あれは、ハイパーカンナギブロック! どんな攻撃も防ぐ盾魔法(たてまほう)だが……何故、正面ではなく背後に……」
江洲波まみ
「……意外とコーチ、頭湧いていないんですね」
常木絹太
「エスナさんには判るのか?」
江洲波まみ
「さっき自分で言ったじゃないですか」
常木絹太
「何?」
江洲波まみ
「受け止めるためですよ。その身で、相手の攻撃を受け止めるために、決まっているじゃないですか!」
「根性見せて受け止めるんだ、転校生!」
●
――あたる、ボールを正面で受け、両手と身体を使って包み込む。
――ボールの勢いで、身体が後ずさるが、背後にあるハイパーカンナギブロックによって、コート外に出るのは免れる。
犬吠埼あたる
「ぎっ、ぎぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいい!」
末長飛竜
「背後の門で後ろに身体が流れることは避(さ)けたようだけど、門とボールに挟まれて、身体が、内蔵が潰れてしまっているんじゃないか? もう身体をずらして、手を離して、楽になりなよ」
犬吠埼あたる
「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇ! オレは、負けねぇぇぇぇぇぇえええ!」
末長飛竜
「いつまでそんな口が叩けるかな? ほら、そろそろボールに貯まった紫電が爆発する時間だ」
犬吠埼あたる
「ぁ、ぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああッ!」
――間。
末長飛竜
「まさか、ここまでの傑物(けつぶつ)だったとは……」
犬吠埼あたる
「ハァ……ハァ……耐えてやったぜ、受け止めてやったぜ! 末長飛竜! これで、お前の残機もオレと同じく、1だ!」
末長飛竜
「……今出せるボクの最強の攻撃だったのだけど……見事と言うほか無いな。だが、まだ諦めたわけではない。……さぁ、来い!」
犬吠埼あたる
「そんなこと言って、避けるつもりか?」
末長飛竜
「ドッヂボールにおいて、回避は選択肢の1つだ。だが、この場において、その選択肢はボクの中にはない! 君はボクの最強の攻撃を受けきった。それに敬意を表して、君の攻撃を受け止めてやる!」
犬吠埼あたる
「ヘヘッ、たぎってきたぜ! お前もつくづく頭のネジの飛んだやつだな!」
末長飛竜
「試合中に性転換(せいてんかん)する奴には負けるさ」
犬吠埼あたる
「違いねぇ! いくぜ、末長飛竜(すえなが・ひりゅう)! お前の態度に敬意を表して、オレも、お前みたいなアタックをしてやる! これを受け止めきれなかったらオレの勝ち! 受け止めきったらお前の勝ちだ!」
末長飛竜
「シンプルだね。実は、そういうのが1番好きだ! 来い、犬吠埼(いぬぼうさき)あたる!」
――あたる、ボールを真上に投げ、半身を後ろに下げ、拳を握る。
犬吠埼あたる
「剣(つるぎ)の舞。戦車の轍(わだち)。天使の車輪は蹂躙(じゅうりん)する」
末長飛竜
「い、りん、はん、えき、そん、たく、しょう、さん、げん――」
犬吠埼あたる
「ガルガァァァァァァーーーーリィィィィィン!」
末長飛竜
「末長忍法、壕(ごう)の形――」
犬吠埼あたる
「ホイィィィィィル――!」
末長飛竜
「【宝生如雷(ほうしょうにょらい)】!」
犬吠埼あたる
「(できれば同時に)うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
末長飛竜
「(できれば同時に)うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
○
江洲波まみ
「転校生の拳(こぶし)が光ってる……! そしてその拳で、さっき上に投げたボールを……殴り飛ばした!」
常木絹太
「あれは、ガルガリンホイール!? あたるのバカ! いくらなんでもそれはやりすぎだ! 避けろ! 末長飛竜(すえなが・ひりゅう)!」
江洲波まみ
「コーチ、避けられたらこっちが負けてしまいます!」
常木絹太
「そんなこと言っている場合じゃない! ガルガリンホイールは、並の人間では近付くことすらできない、高濃度の光の魔力の塊(かたまり)だ! ただの小学生がそんなものを受けたら――死ぬぞ!」
江洲波まみ
「死ぬ……!? あ、忍者の分身が消えた!? そして、本体の背中から、虫のような巨大な6本の足が生えた……!?」
常木絹太
「……まさかそれで、受け止めるつもりか……!?」
江洲波まみ
「転校生が殴ったボールが、光って光って、あれは……天使!? なんか天使のエフェクト的なものが見える! エフェクト的なものが見える! そんな天使が、忍者に――!」
常木絹太
「……な! ――キャッチした……だと!? 背中から生えた足と、その両手で受け止めただと!? いくら何でもあれをただの人間が、正面から!?」
江洲波まみ
「あ、その衝撃で、砂埃が舞って、何が起こっているのか見えない……!」
常木絹太
「一体……どっちだ? どっちが勝ったんだ!?」
●
――間。
末長飛竜
「フフフ……」
犬吠埼あたる
「……!」
末長飛竜
「フフフハハハハハハハハハハハハ!」
犬吠埼あたる
「……見事だ! 末長飛竜(すえなが・ひりゅう)!」
末長飛竜
「……つくづくだ」
犬吠埼あたる
「……?」
末長飛竜
「……つくづく、君は頭のネジが飛んでいる」
末長飛竜
「それは、負け犬にかける言葉じゃないだろ?」
――飛竜のコートの外で受け止めきれなかったボールが弾む。
犬吠埼あたる
「……取り消せよ」
末長飛竜
「ん?」
犬吠埼あたる
「魔法少女になったオレの全力を、正面切って受け止めようとした奴を、負け犬呼ばわりなんてすんじゃねぇよ! お前は、末長飛竜(すえなが・ひりゅう)は、オレ――犬吠埼(いぬぼうさき)あたるのライバルだ!」
末長飛竜
「……ライバルか。フフ、暑苦しいな。もっと簡単に、敵(てき)って呼んでくれないかな。……まぁいいさ。良い勝負だった」
犬吠埼あたる
「ああ、またやろうな! オレの敵!」
末長飛竜
「フフフ、次やる時は、君が負ける番だけどね。それでいいなら相手をしてあげるよ、ボクの敵!」
犬吠埼あたる
「減らず口を叩くじゃねぇか。でも、そうじゃねぇと張り合いがねぇ!」
末長飛竜
「……犬吠埼(いぬぼうさき)あたる」
犬吠埼あたる
「なんだ、末長飛竜(すえなが・ひりゅう)」
末長飛竜
「勝てよ!」
犬吠埼あたる
「……」
末長飛竜
「この先も、勝って、勝って、勝ち抜いて、君に1回戦で負けたボクが――末長忍軍の次期頭領であるボクが――決して弱くなかったと、証明してくれ……!」
犬吠埼あたる
「ああ、任せろ! お前は間違いなく強かった! そんなお前に勝ったオレは、間違いなく強いし、だからオレはきっと、勝ち続けられる!」
末長飛竜
「君はやっぱり……頭のネジが飛んでいる」
犬吠埼あたる
「当然だろ? オレはお前と同じ、ドッヂボーラーだからな!」
●●●
――次回予告
犬吠埼あたる
「全国大会2回戦の相手は……女子!? しかも、超能力者だって!?」
江洲波まみ
「……」
犬吠埼あたる
「だが、どんな相手だろうとやることは1つ、勝つだけだ! たぎってきたぜ!」
江洲波まみ
「ちょっと待って、転校生」
犬吠埼あたる
「ん? どうしたマネージャー?」
江洲波まみ
「この勝負、私にあずけてほしいの」
犬吠埼あたる
「は!? どういうことだよ?」
江洲波まみ
「あの女は私の天敵……この超能力者、江洲波(えすな)まみのね!」
犬吠埼あたる
「マネージャーって、超能力者だったのか?」
江洲波まみ
「実はそうだったの。だから、2回戦はあたしが戦う! 女子同士! 超能力者同士の超能力ドッヂボールの開演よ!」
犬吠埼あたる
「へへ、面白ぇ! やってみろ!」
「次回『予想外! 代表選手変更不可!』」
「次回もきっと、たぎってやるぜ!」